2012-02-23(Thu)

アニメの勉強をしています その4

こんばんは。

「アニメを勉強しよう」という事で始まったこのシリーズ。
前回は「魔法少女まどかマギカ」の感想を書きましたが、今回は「けいおん!」です。
こちらは一期・二期を併せて四十話近くあるので、とりあえず一期(14話)と二期を少し見てみての感想です。

今回はあらかじめ原作(四コマ漫画)を読んでおきました。
結論から言うと凄く面白かったです。 人気が高い理由が分かった気がします。


さて、作中に出てくる主人公達が通う学校を見た瞬間「んなっ、宮崎県庁か!?」と思いましたが、違いました。
どうやら滋賀県犬上郡豊郷町にある「豊郷小学校」の旧校舎の様ですね。

■ 豊郷小学校
www.google.co.jp/search

■ 宮崎県庁

www.google.co.jp/search

まあ全く別物なのですが、大まかな形状と、緑が豊かな点で錯覚したようです。
そういえば、この豊郷小学校は、熱心なファンが訪れる「聖地巡礼」でも話題になりましたね。
デザイン的にも非常に面白いので、機会があれば行ってみたいですね。


さて、具体的にレビューしてみましょう。



【 BDに関して 】
今回もBD版を買いました。
画質に関しては言うことなしなのですが、ちょっと値段が高いですね。 洋画などと比べても数割高いです。
一期は二話、二期は三話ずつ収録されていますが、せめて定価六千円位にならないものか?

この値段が制作スタッフの給料に反映されているなら良いのですが。




【 ストーリーに関して 】

この作品を見るに当たって最も注目していたのが、「四コマ漫画の原作をどうやって映像作品にするのか」という点です。
四コマ漫画は各話毎にオチが付いているので、それをそのまま繋げて映像化する訳にもいかないでしょう。
そもそもボリューム的に足りないので、オリジナル要素を加えつつアレンジする必要が有ると思ったわけです。

漫画・アニメ原作のゲーム化に際し、オリジナル要素を追加するのは大変です。
下手すると原作のイメージを台無しにしてしまう恐れがあり、ファンから猛烈な抗議を受けます。
かといって原作そのままだとボリュームや内容的にゲームに適しない場合も多く、悩みどころなのです。

等々、そんな心配をしつつ見てみたわけですが、全く杞憂だったようです。
原作のエピソードをアレンジした部分も有れば、全く新規に作られたエピソードなどもいっぱい有ったのですが、全く違和感を感じませんでした。
よくここまで自然に、四コマ漫画をアレンジしつつ映像作品にできるものだと感心しました。


原作からそうなのですが、主人公を含め、登場人物のほとんどが女子高生などの女性キャラですが、お色気要素をウリにしているわけでも無く、かといって恋などの確執があるわけでもありません。
軽音部なのに音楽に関するエピソードもそれほど多くありません。

本当に些細な日常を淡々と描いている作品なのですが、なぜこんなに引き込まれるのか?
ここまで大事件が起きない作品も珍しい気がしますが、キャラクターと、それを取り巻くその些細なエピソードの描き方が秀逸なのかもしれません。


個人的に特に良いなと思ったのは、キャラの性格や動機、心情の変化などに関する何気ない表現が秀逸だった点です。
うっかりすると見落としてしまいそうな、さりげない動きや一瞬の表情の変化などです。

例えば、一期の7話「クリスマス!」の導入部で、唯(主人公)が雪(綿で作った物)を作りに行くエピソード。
ベッドの上に散乱している二つの目覚まし時計と、乱雑に脱ぎ捨てられた寝間着と布団。
このカットはキャラもおらず特にセリフも動きもないシーンなのですが、寝起きが悪い唯が、この時ばかりは是が非でも早起きしようとした点と、一刻も早く着替えて雪を作りに行きたかったという心情がさりげなく表現されていて秀逸だと思いました。

その他にも、ケーキを食べたりジャンケンをしたり、或いはキャラ毎の歩き方など、何でも無いような動きや表情の変化などが、とにかく良く出来ていると思います。 セリフ無しでもキャラ毎の個性が表現できています。
この辺はゲーム制作に携わるキャラクターデザイナーやモーションデザイナーにも参考にして欲しいくらいです。


第一期は二年時の学園祭が最終話でしたが(第7巻に収録されている番外編を除く)が、この時点では原作はまだ未完結だったはずです。
未完結の作品を映像化し、どうやって丸く収めるか、これは漫画をゲーム化する事がある我々にも大変参考になります。
長期連載の漫画を、まだ完結していない時点でゲーム化するという話は良くあります。

原作ではこの学園祭は割とあっさりとしていましたが、アニメ版では最終エピソードらしく、大幅にアレンジして、主人公の成長と、それを取り巻く仲間との絆が分かる、なんとも心温まるエピソードとして描かれていました。
純粋な話としてだけでは無く、未完結の作品の途中部分を最終エピソードとして描くにはどうするか、そういう意味でも大変興味深かったですね。

また、普段はあまり音楽にまつわるシーンが出てこないこの作品ですが、ここぞという時に出てくるライブシーンなどは大変魅力的です。
この最終話の学祭ライブもそうでして、演奏中の動きや表情とか、凄くいいなと思いました。 ついでに歌も良いです。

あと、最終話冒頭のたくあんエピソードは、思わずお茶を吹き出してしまうほど衝撃を受けました。
原作でもカバー裏にひっそりとたくあんの話が掲載されていましたが、まさか映像化してくるとは・・・恐るべし。


なお、DVD/BD版には「うらおん」と呼ばれるおまけ映像が収録されています。
腰が砕けそうなほのぼのタッチの作画と音楽で、これまたしょうも無いストーリーが展開されるのですが、何というか最高です。

ストーリーは大満足ですね。 幅広い層にも人気なのが分かります。



【 映像に関して 】

映像面ですが、作画が非常に高レベルで安定していると感じました。
作品によっては作画にばらつきが有ったりしますが、この作品に関しては安心して見られました。
また、キャラの動きの滑らかさも良いですし、前述の様に表情の豊かさなども良かったと思います。


一期・二期共に、作中のワンシーンの様なイメージの元気の良いオープニングと、一転して幻想的な雰囲気のエンディングが面白かったです。
そういうコンセプトで作られているのかは不明ですが、どちらも印象的で良かったですね。
ここで主題歌が流れるのですが、これがまた良いです。


映像面で興味深かった点は、今作でも3DCGを活用していた点です。
一期ではあまり気が付きませんでしたが、二期ではあちこちで活用しているようでした。

二期のオープニングにおいて、廊下を歩くシーンや音楽室で演奏中にカメラがクルクルと回るシーン、或いは楽器がアップで表示されるシーンなど、立体感や動きの滑らかさやは3Dじゃないと表現できない気がします。
音楽室などの開閉するドアも3Dの様な気がします。 こういった動く背景はこっちの方が効率が良いでしょうね。
質感などがなんとなく3D+トゥーンシェーディング独特の質感ですね。

もはやアニメでも3DCGを駆使するのは普通なのでしょう。
ということは、アニメ制作の現場でも3DCGのスキルが必要で、そういった求人需要があるのでしょうか?
それともCGプロダクションに外注しているのでしょうか。

二期の第二話でも気になる箇所がいくつか。
人形を奪い取った澪が手前にスタスタと歩いてくるシーン、妙に滑らかですが、これは手描きなのか・・・?
アニメ制作事情はよく分かりませんが、過去に見たアニメとは質感というか、動きの雰囲気が違う気がします。
遙か昔に見たアニメと、最近見た作品の間がすっぽりと抜けているので、その間のアニメ技術の変化・進化は分かりませんが、色々変わっている気がして新鮮です。 被写界深度とかも普通に使っていて綺麗ですね。


前述の「うらおん」に関しても、意図的に崩れた画風で描くのも大変だと思います。
ただ適当に描けば良いという物でも無いでしょうからね。



【 キャラに関して 】


四コマ漫画からの映像化なので、当然ですが声優さんが演じています。
全キャライメージ通りだったと思います。 みんな上手いですね。
Wikipediaによれば、声優さんは実力派の若手揃いのようで、今作が注目を集めたことで大きく飛躍したようですね。

力士の物真似をするエピソードは驚愕しました。 同じ人が演じているとは思えません。
二期の一話で方言をしゃべるシーンも見事。 流石プロといった感じです。


映像作品であるアニメはもちろん、昨今ではゲームにも声優さんの協力無しには作れません。
職場にも熱心な声優ファンの同僚がいるのですが、以前「そういえばこないだ作った●●というゲームで●●さんという声優さんを起用したんだけど、なんか凄く人気のある人らしいね」みたいな話をしたら、「なんで事前に教えてくれなかったんだ!?」と本気で怒られました。
いや、そんなの知らんし、仮に事前に知っていたら何をするつもりだったのか? サインでも貰いに行ったのでしょうか・・・


この作品はキャラ人気が非常に高い様ですが、それ故にストーリーのアレンジや新キャラの追加は苦労したことでしょう。
シリーズ物のゲームでも、次回作が出る度にキャラが一新される場合は良いのですが、基本的に引き継ぐゲーム(例えば格ゲーやアドベンチャーゲーム)は大変です。

私も非常にキャラ人気の高いゲーム(シリーズ物)の開発に携わった事がありますが、続編制作時のキャラ問題、
例えば新キャラの追加、既存キャラの一部削除や総入れ替えなどは大変です。
キャラが削除されようものなら、その熱心なファンから半殺しどころか全殺しレベルのクレームが来ることも・・・
個人的な感想ですが、キャラの大幅な入れ替えはろくな事がない気がします。

新しいことをやるのならば、なまじ既存のタイトルを引き継ぐのではなく、完全に新規で作った方が良いこともあります。
もちろん、それには大変なコストが発生し、企画が通らないことも多いのですが。


話をけいおんに戻しますが、一期の特別編では律(主要メンバーの1人)の弟が登場し、さらに二期ではクラスメイトが多数登場するようです。 もしかして、全クラスメイトにキャラ設定があるのでしょうか!?

もちろん原作には居なかった完全オリジナルキャラ達ですが、苦労も多かったでしょう。
特に男キャラである弟は色々賛否があったのでは?



【 音楽に関して 】

主人公達が軽音部に所属しているという設定なので、作中でも色々な楽曲が出てくるのですが、これがまた種類が豊富です。
過去に見た「マクロスフロンティア」も多かったですが、こちらも同様に多彩です。
しかも妙にノリが良く、なんというか中毒性が高い曲揃いです。

原作の四コマ漫画に「ごはんはおかず」という曲があったのですが、あくまでネタだと思っていました。
が、まさかこれが本当に歌になっているとは・・・ しかも超ノリが良いし。 中毒性が有ります。

曲名や歌詞は強烈に個性的なのですが、これが実際に歌になると、なんとも良いんですよね。
映像研究目的だったのに、気がついたらサントラまで買わせるとは・・・

個人的には「Cagayake! GIRLS」「五月雨20ラブ」「Don't say "lazy"」辺りが好きですね。
恐らくこれからもっと多くの曲が出てくるのでしょうが、いったい何曲あるのやら。

歌以外の曲も良いですね。 みなさん良い仕事をしています。



【 その他 】

以上、一期と二期の一部を見ての感想でした。

以前レビューした「まどかマギカ」とは全く方向性の異なる作品でしたが、どちらも大変面白い作品でした。
あちらはダークファンタジーとも言うべき重い内容でしたが、こちらは一転してほのぼのストーリーですね。
子供をはじめ、誰にでもお勧めできる内容だと思います。 幅広い層に人気が有るというのも納得出来ます。


前述の様に、キャラの個性・魅力の表現が秀逸でした。 ストーリー、作画、音声など、全てが高レベルで、キャラクターがここまで活き活きとしている作品はあまり無い気がします。
大事件が起きない平穏な日常を描いているという点も逆に新しく、キャラの魅力と相まって、他には無いこの作品だけの魅力を作り出しているのではないでしょうか。

まだ二期を見終わっていませんが、三年生の一年間を一期の倍の話数で描いているので、細かいエピソードがたくさん有りそうで期待できます。
原作も新シリーズが始まったようですし、三期もあるかもしれませんね。


さて、ひとまず「魔法少女まどかマギカ」と「けいおん!」を見てきた訳ですが、どちらも大満足でした。
作品としても面白いし、仕事にも参考になりそうな点も色々有りました。 正直言ってクオリティの高さに脱帽です。


*ところで、作中で使われている「Have some tea?」という曲ですが、BDの作中で聞いても、サントラで聞いても、なんかノイズの様な物が聞こえる気がします。
気のせいか、そもそもそういう曲なのか・・・



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お邪魔します、Web検索でなくとなくこちらに行き着いたのですが、「アニメの勉強をしています」シリーズの冷静で分析的な感想を、興味深く拝読しました。
ところで、こちらが「その5」になっていますが、「その4」はどうしたのでしょうか。単なる数字の書き間違いだと思いますが、少々気になりました。

修正しました

こんばんは。
コメントをありがとうございました。

ご指摘の通り「その5」ではなく「4」の間違いでしたので、修正いたしました。
どうもありがとうございました。
プロフィール

Sonic478

Author:Sonic478
 
職業デザイナー
業種ゲーム業界
性別
年齢若者?若者!
趣味1旅行、情報発信、車、カメラ、ゲーム
趣味2ネコと遊ぶ、ニュースを見たり読んだり


業界関係者の視点から、業界の魅力・問題点など、色々紹介しようと思います。

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残業と休日出勤。
欧米メーカーの飛躍とアジア系メーカーの追い上げ。
悩みの多い日々ではありますが、日本のゲーム業界の飛躍を目指して頑張ります。

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