2011-10-31(Mon)

技術支援の功罪

こんばんは。


以前中国支社へ出張し、現地スタッフに色々と技術指導をしたことがあります。
(2008年8~9頃。 関連記事も参照してください。)

そして再び中国絡みの仕事をする事になりました。
やはり現地スタッフの指導などのサポート業務でして、既にあれこれ忙しくやっています。


スキルや経験、考え方の違いなどもあり、やはり苦労が絶えません。
「考え方の違い」と言っても、国民性によるものと、単に個人差によるものがありますので、
短絡的に「日本人は~だから」「中国人は~だ」という風に判断する訳にもいきません。

発生している問題が、前述の様に技術や経験に起因する物なのか、それとも個性による物なのかを判断するのがなかなか大変です。
メールや現地の駐在員を介してのやりとりだと分からない事が多いので、前回のように自分が直接現地に行ってやりとりできる機会は貴重です。

前回行った際は、お互いの母国語に加え、片言の英語も交えながらのコミュニケーションでした。
苦労もしましたが、なかなか楽しいひとときでした。



さて、現地のスタッフに対する技術指導をする訳ですが、これは早い話が自分の「飯の種」を提供しているに等しい行為です。
自分の会社の現地法人に勤めるスタッフに対する指導ですから、言うまでも無く自分の会社の為にやっている訳です。
しかし、最近、こういった技術指導に対して警戒心を持つというか、以前の様に気楽にやることがなくなりました。

いくら自社関連のスタッフに対する指導と言っても、そのスタッフがずっと自社にいるわけでも無く、明日にでも他の会社へ移籍してしまうかもしれません。
(中国では、日本では考えられないほど、あっさりとスタッフが転職してしまうことがあります。)

なにより中国のゲーム業界の技術水準を引き上げている事になるので、五年後・十年後の事を考えると、果たしてホイホイと技術指導をすることが、自社の利益、ひいては国益にかなうことなのか不安になります。



こうした不安は以前から抱いていましたが、それが決定的になったのが、いわゆる新幹線問題です。

高速鉄道の独自開発に失敗した中国が、独・仏・日の高速鉄道先進国に対して技術供与を要求したわけですが、
この時、中国は高速鉄道に関する中枢技術情報の完全提供を要求するなど、あり得ないような条件を提示し、JR東日本など日本側は、その要求を承諾。
先人達が何十年もかけて開発してきた虎の子の技術を格安で売り渡してしまいました。

その数年後、「独自開発」と称した中国版新幹線が出現し、中国共産党のプロパガンダと海外輸出用品の目玉として利用されています。
数ヶ月前の大事故でブレーキがかかったとはいえ、我が日本が愚かすぎる技術の投げ売りをやってしまった事には変わりはありません。

国を代表するような基幹技術を格安で売り渡し、かといって政治的に何か譲渡を引き出せたわけでもなく、挙げ句の果てには「独自」を名乗られて輸出市場における重大な驚異となって還ってくる始末。
日本の近代史における重大な愚行の一つだと思います。


この他にも、レアアースや高級レンズ、複合繊維、ハイブリッドエンジンなど、日本の生命線とも言える基幹技術に関する工場設立や合弁企業設立などを中国や韓国で行うという、技術流出に直結するような恐ろしいニュースが次から次へと・・・

もちろん円高など、現地で生産するメリットも大きいとは思いますが、あまりにも技術保護に対する取り組みがおろそかであるように見えます。

円高対策は政府がもっと本腰を入れてやる必要があると思います。
しかし、与党である民主党にはその能力はなく、むしろ意図的に円高を放置して海外移転に誘導している様に見えます。
早く解散総選挙を行わないと、もう日本は持たない気がします。



新幹線の技術供与に比べれば、私がゲーム制作に関する技術指導を行うのは些細な事だと思います。
が、自慢の技術やノウハウをたやすく提供しているという構図には変わりがないでしょう。

こういった技術指導をする際は、単にPhotoShopやSoftimage等のツールの使い方の指導だけにとどまりません。
場合によってはインハウスツール(自社開発の独自ツール)や各種スクリプトなども提供します。
これらは「なくても良いけど、有れば格段に作業効率が向上する」という類の物で、市販化すれば莫大な利益が見込める物です。


しかし、これまでの流れだと、こういった貴重なツール群もどんどん提供して、まさに大盤振る舞い状態。
頻繁にスタッフが入れ替わる現地法人において、機密情報の管理はしっかりできているのか、非常に不安です。

同僚のプログラマーも同様に不安を感じているようです。
ツールを使うのは我々デザイナーの仕事ですが、そのツールそのものを作るのが仕事である彼らは、ある意味でより身近な問題として捉えているようです。


技術指導や機密情報の管理は、会社によってかなり差があるようです。
以前別の会社で働いていた同僚によると、某社では正社員とそれ以外(派遣・契約・バイト)は完全に隔離されており、ツールの提供や技術指導もかなり限定的であったとのこと。
その状態では色々と作業のやりにくさも出てきそうですが、機密保護の観点から言うと正解のような気もします。

極端な話、ツールの環境設定のカスタマイズやテクスチャーの描き方も「機密情報」といえます。
他社はもちろん、後輩に教えた場合でも、ある意味で自分の首を絞める事にもなりかねない訳で・・・
さすがに関連会社や後輩に対して指導をしないという訳にはいきませんが、色々と考えさせられます。


とりあえず、今の世の中の仕組みでは、他社や他国と一切関係を持たずにやっていくのは現実的ではありません。
大なり小なり、技術や情報のやり取りが生じるのは仕方がないと思います。
ですが、そんな状況下でも、気をつけるべき事が色々有ると思います。

さて・・・明日も技術指導の仕事は続きます。
何を教えて何を保護すべきか・・・悩みますが頑張ります。


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Sonic478

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