2009-06-25(Thu)

戦争を体験するゲーム

こんばんは。

本日(毎週水曜日)は「NewsWeek(ニューズウィーク)日本版」の発売日です。
いつもの様にキオスクで購入し、通勤途中の車内で読んでみました。

表紙を飾っている事からも分かるように、今号の特集はイランの大統領選挙でした。
しかし、個人的に最も気になった記事は、40ページから始まる「ファルージャのもう一つの戦争」という記事です。




イラク戦争関連のニュースを見た人なら誰でも知っていると思いますが、ファルージャというのはイラクにある都市の名前で、数年前のイラク戦争で注目を集めることになった場所です。

米国の民間警備会社の社員が拉致・殺害された事をきっかけに、米軍が都市を包囲した後に攻撃を加え、民間人を含む大勢が犠牲になりました。

第二次大戦のスターリングラード攻防戦、ベトナム戦争のフエ市街戦、ソマリア紛争のモガディシオ市街戦など、これまでに歴史に名を残す壮絶な市街戦(都市部での戦闘)がいくつかありましたが、このファルージャの戦闘はそれに匹敵するほど壮絶で悲惨だったようです。


このファルージャにおける一連の戦いを、米国のゲームメーカーであるアトミック・ゲームズが「ファルージャの六日間」というタイトルでゲーム化を試み、間もなく完成するという所で、戦闘で死亡した兵士の遺族などから猛反発を受けている、これが記事の概要です。


記事によれば、ゲーム化に際して、実際に戦闘に従事した兵士から体験談や写真などを提供して貰い、街の構造、彼我の武装や戦術、気象、作戦の推移など、あらゆる部分をリアルに作り込んでいるとのこと。

スクリーンショットを見る限りでは、確かにグラフィックや兵士のポーズなどが非常にリアルです。
見た感じではXbox360向けのゲームでしょうか。

既に4年もの歳月と二千万ドルの開発費を費やし、社運をかけて望んだプロジェクトとの事です。




このゲームの存在を巡り、賛成と反対に意見が分かれています。

ドキュメンタリー番組や映画などのように、ゲームは戦争という重く複雑なテーマを扱うのに適したメディアなのかという意見もあれば、欠点はあるが、それらを上手く克服できれば、双方向性というゲームならではの強みを活かせるのではないかという意見も有ります。


実は、日本の大手ゲームメーカーの一つであるコナミは、このゲームの出資者の一つであり、ゲームの販売権の獲得も予定していたとの事です。

しかし、プロモーション映像を公開するやいなや、すぐさま遺族や関係者から猛反発を受けたようです。
その内容を抜粋すると

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(略) ~ 現在も続く戦争の現実を軽視し、私達の近親者の死を娯楽の対象にして利益を
上げようとするのは卑劣な行為である。

*以上、ニューズウィーク日本版 2009/7/1号 41ページより抜粋・引用

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この声明が発表された二週間後、コナミはこの「ファルージャの六日間」から手を引いたとの事です。




この記事は、ゲーム制作を生業とする私にとって非常に考えさせられるものでした。
おそらく、良いか悪いかを簡単に決められるようなテーマではないと思います。

記事にはゲーム開発者、作戦に従軍した兵士、遺族、大学教授、研究者など、様々な肩書きの人の考えが紹介されています。


戦争を疑似体験するメディアとしてゲームが不適切だという意見。
逆にテレビなどよりも適しているとする意見。
いかなる形であれ、遺族を傷つけるだろうという意見。
ゲームと言うだけで拒否反応を示しているのではないかという意見。


我々日本のメーカーが造るゲームの中にも、実際の戦いをモチーフにしていないものの、刃物や銃火器で相手を傷つけるゲームは山ほど有ります。

この記事を読んだことで、ゲームというメディアが持つ意義を深く考えさせられました。



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Sonic478

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